昼下がりのラジオから流れる愛憎劇。あの名曲は「昭和だから許された」のか?

移住者のオフタイム(雑記)
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午後の穏やかな時間帯、何気なくラジオを流していると、ふと懐かしい昭和歌謡が飛び込んでくることがあります。先日流れてきたのは、チェッカーズの大ヒット曲『涙のリクエスト』でした。

「あー、懐かしいな」なんて軽快なメロディにノリながら聴き流すつもりが……。ふと「あるフレーズ」に耳を傾けた瞬間、「えっ、ちょっと待って!?」と、現代の感覚を持った私の頭の中に強烈なツッコミと違和感が走ったんです。

冷静に考えると震える「銀のロケット」のくだり

私が「いやいや、それはいくらなんでもエグいって!」と思わず耳を疑ってしまったのは、あの有名なフレーズです。

僕が贈った銀のロケット 今では違う誰かの写真 いいさそいつと抱き合いながら 悲しい恋を笑ってくれよ

この曲のシチュエーション、皆さんは覚えていますか?別れた彼女が「新しい彼氏の運転する車でカーラジオを聴いている時間」をピンポイントで狙って、主人公がラジオDJにリクエスト曲を届けるという設定です。

そこにきて、この歌詞ですよ。 元カノ、自分が別れた男(主人公)から貰ったペンダントを捨ててないんです。それだけならまだしも、わざわざ中身の写真だけを「今の彼氏」に入れ替えて、その彼氏とのデートに着けていくという……。現代の感覚からしたら、「メンタル鋼(はがね)すぎない?」「サイコパスなの?」と震えるレベルのえげつなさですよね。

しかも、その事実を知りながら、公共の電波を使って未練と皮肉たっぷりのメッセージを新彼氏とのドライブ中にぶっ込む主人公。もし車内で新彼氏が「そのロケット、誰にもらったの?」なんて聞いた直後にこの曲が流れたら……想像するだけで地獄のドライブ(完全なホラー)です。

大ヒットの裏にあった「共感」という生々しいリアル

当時はノリの良いポップスとして何も考えずに聴き流していましたが、状況だけを抜き出すとなかなか重たい愛憎劇です。

でも、よくよく考えてみると、この曲は当時ミリオンセラーに迫るほどの大ヒットを記録したわけです。つまり、当時の若者たちから絶大な「共感」を得ていたということ。

恋愛はいつの時代も思い通りにはいかないものですが、スマホもSNSも、もちろんブロック機能もなかった昭和の時代。もしかすると、作詞者本人か身近に、このモデルになるようなドロドロとした生々しくて残酷な出来事が本当にあったのかもしれません。「別れた相手のアクセサリーを平気で使い続ける」という図太さも、今よりずっとリアルな「あるある」だったのかも……なんて想像してしまいます。

「昭和だから許された」狂気と、現代とのギャップ

人間の根っこにある愛憎や嫉妬、執着といった感情そのものは、きっと今も昔も変わりません。

ただ、もし今の時代にこの主人公のような情念が現実の行動として現れたら……と想像すると、ちょっと笑えなくなってきますよね。時々、テレビのワイドショーで恋愛のもつれから発展した深刻な事件が報道されますが、物事の根っこにある感情は、おそらくこの歌詞の世界と同じではないでしょうか。

一歩間違えれば「重すぎる」「ちょっと怖い」と警戒され、最悪の場合は取り返しのつかない事態にすらなりかねない危うい感情。それが「情熱的でドラマチックな愛の形」として世間にすんなり受け入れられ、エンターテイメントとして消費されることが許されていた。それが「昭和」という時代の持つ、ある種の熱量であり、おおらかさだったのでしょう。

今、同じことが起これば、到底許されるものではありません。

狂気スレスレの情念すらもヒットチャートの頂点に押し上げていたあの時代と、コンプライアンスや距離感を冷静に測る現代。ただ「懐かしいね」と笑うだけでは済まされない価値観のギャップの前に、私は、昭和という時代がどんどん遠ざかっていくことを実感するのでした。

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