移住することを周囲の人にどのように発表するかということにお悩みの方もいらしゃることでしょう。
大抵の場合、移住しようと考える方々は立派な成人ですから、誰のお許しも同意も必要ないというのが原則ではあります。
しかし、できることなら移住について好意的に理解してもらいたいと思うのがやはり自然な気持ちでしょう。
私たちは先日、この「カミングアウト」をついに経験しました。
今回の記事では、私たちが妻のご両親に移住を告白する経緯をご紹介します。
一部プライバシーの関係で省略しなければならない内容もありますが、移住のことを周囲にどう伝えたらよいかお悩みの方々の参考になればと思います。
ハプニング発生!おとうさんが返ってこない!
「おじゃまします!ご無沙汰しています!」
私が妻の実家を訪れたのは、2024年10月末のある日曜日のこと。
テレビでは、大谷翔平出場のワールドシリーズ第2戦の真っ最中です。
「ドジャース勝ってるよ!」とお父さん。
「じゃ、ちょっと行ってい来るわ…」どうやら私たちの到着を待って、お父さんはお寿司を買いに行く予定にしていたようです。
ところが「ほんのすぐそこだから…」と言って出て行ったはずのお父さんがなかなか帰ってこない。
こちらはといえば、私と妻と、妻のお母さんで当たり障りのない話題でなんとか時間を繋ぐしかない。
テレビでは大谷翔平がなんと負傷!
ようやく帰ってきたのは、ドジャースの勝利が決まりつつある1時間以上後のことでした。
ところが、こんどはお父さんが自室にこもって出てこない。
まぁ、年始でもないのに私が来るくらいですから、余程のことなのだろうと予感していたのでしょう。
移住のカミングアウトは、あらゆる状況を検討していることを自信をもって話す
しびれを切らしたお母さんが、ついにお父さんを呼びに行きます。
そしてようやく全員集合。
私は一呼吸おいて、ゆっくりと
「私たち、引越しをしようと思っています」
「引越し」という言葉を使ったのは、「移住」という言葉には人それぞれのイメージがあり、言葉を受け取る側の先入観に左右されないようにするためです。
ここでまた大きく一呼吸あけ、
「予定先は、福島県のいわき市です」
するとお母さんから「何でまた?」との質問が。これは想定済みだったのであらかじめ考えていた内容を順序だてて説明しました。
ここから先はプライバシー満載なので概要のみでご容赦ください。
ここでは、移住を決めた経緯をもとに、大きく2つに分けて論理だてて話しました。
- いわき市を選んだ理由
- その理由となったことがらが、首都圏に住んだままでは実現できないこと
さらに、妻が実家を訪れる頻度について距離的観点からも現状を維持できることも強調しました。
続けて、「なぜ今なのか」について長期・短期2つのスパンに分けて説明しました。
- 1つ目は、これまで時代の流れや環境適応力を失わないように特に留意して生きてきた。しかし今後、長期的には自分の能力を過信できないと考えること。だから、環境適応力があるうちに実行することが長いスパンでの理由
- 2つ目は、妻の就職を最優先に考えたこと。妻は福祉関係の資格を無事に取得したばかりなので、採用側からすると「半年前に資格を取得しました」や「1年前に取得したことがあります」というより、資格を取得したばかりの今が最適だということが短いスパンでの理由
叔父さんに相談はしたの?
お母さんからは「相談はしたの?」との質問が妻に。
この意味は、お母さんの弟さん、つまり妻から見た「叔父さん」一家が、お母さんの実家でもある福島県の浜通り地域に住んでいるのですが、「前もって叔父さんに相談はしたのか?」という意味です。
ここは想定済みの質問とばかりに、妻に向けられた質問の矛先をすかさず私が受取ります。
「これは順序のお話になるかと思いますが今回は、当然のことながら、叔父さんを頼って移住しようとするわけではないのです。ですから自分たちでできる準備、特に生活基盤を固めるところまでは自分たちでやる必要があると考えています。」
「その上で、良好なお付き合いをさせていただければと考えています」
と回答。
お父さんから予期せぬ難問が!
さて、ここでお父さんから予想外の質問が。それは、
「一人暮らしの(私の)お母さんを置いて地方に引越しすることについてはどう考えているのか」
「お母さんの世話が必要になったらどうするの」
というものでした。
このことはあらかじめ考えていたことではありましたが、まざかここで聞かれるとは思ってもいませんでした。そのため頭の中はフル回転。
ここもプライバシー満載ゆえ、概要でご容赦ください。
- 母親は母親なりに将来希望する生き方(自ら選んだ施設への入所など)を希望していること
- 少なくとも私たちとの同居は望んでいないこと
- 現在、実家まで車で約40分の距離に住んでいるが、必要な場合は所要時間が2時間程度増えることになるが、引き続き対応可能なこと
- 一人暮らしが困難になった場合は、物理的に実家に戻ることは可能だが、家族(素人)による介護が共倒れになりかねないという現実も受け入れる必要がある
以上を前提に、「母親自身が希望する余生を過ごせるよう必要な助力は惜しまない」と、説明しました。
その他の関連質問もたくさんあったと思いますが、最終的にお父さんが口にした言葉は、「二人でよく考えて決めただろうことはよく分かった。俺は反対はしない。」
というものでした。
その後は、まずひと山を乗り越えたような和やかな雰囲気が続き、お父さんに「これからは、今まで以上にいわきに行く回数が増えるかもしれないですね」
というと、「そうかもな」と一笑。
しかし妻の実家を後にして自宅に戻ると、「面接疲れ」のような感覚で、どっと疲れが押し寄せてきました。
まとめ:移住のカミングアウト3原則
しかし妻いわく、冷静な話し方で、しかも筋道立った説明で200点満点だった…と。
後になって聞けば、「お父さんからは絶対に反対されると思っていた」とのこと。
「知らぬが仏」という言葉がありますが、そのことを知らなかったゆえに、冷静な説明が出来たのかもしれませんね。
さて、無事に我が家の「カミングアウト」が成功に終わってからというもの、むしろ妻の方が、いっそう移住に積極的になり、テンションが上がったのは気のせいでもなさそうです。
さて、移住にも海外移住や離島への移住など、様々なケースがあると思いますが、共通するカミングアウトを成功させる三原則は何かと聞かれれば、
- 今後の人生を送るのがその地域でなければならない理由をはっきりさせること
- その理由が、今現在住んでいる場所では実現不可能なことを確認して客観的に説明すること
- 移住することで起きうる諸問題について、考えられる範囲であらかじめ想定しておくこと
という、カミングアウト以前の「移住を決意する段階」で考えておくべきことと同じだと思います。
さて、今回は移住することを周囲の人にどうやって説明するか、についての記事でした。
次回の記事では、近日中に東京有楽町の東京交通会館で「福島くらし&しごとフェア 2024」に参加します。
これにあわせ当日上京されるいわき担当の移住コーディネーターさんとの打ち合わせも予定していますので、次回はその様子でもご紹介できればと思います。
それから、以前ご紹介した「来てふくしま体験住宅提供事業」の県営住宅(団地)の利用許可も無事に出ましたので、私たちのいわき移住計画もいよいよ動き出します!