移住希望者の方が一定期間、県営団地に滞在できるという「来てふくしま体験住宅提供事業」。
この制度をいざ利用しようとするときは、あとあとになって「聞いていなかった」などということがないように、どのような対象者がどのような条件で利用できるのかを知っておく必要があるでしょう。
それらの条件は「来てふくしま体験住宅提供事業実施要領(PDF)」に詳細が書かれているので、一度は目を通しておくことをおすすめします。
今回の記事は、来てふくしま体験住宅提供事業の利用許可が出て、部屋の鍵を受け取るときに渡される「県営住宅入居のしおり」を一挙公開します。
この制度を利用した県営団地での生活がより具体的にイメージできますので、申し込みの前の心構えもより具体的になりますよ。
入居を間近に控えた私がこれを読んで、「これはひょっとして落とし穴になるかもしれないな」とチェックした項目にはコメントもいれています。それでは見ていきましょう。
I 県営住宅入居者のみなさんへ
県営住宅は集合住宅ですので、お互いに尊重し、ルールを守り生活してください。◇次の事項については、特に注意してください。
1 迷惑行為の禁止について
生活音の中でも、他の部屋のテレビ、ステレオなどの大きな音や足音などの振動は大変うるさく聞こえるものです。
特に、深夜、早朝などは迷惑の掛からないよう十分注意してください。
上下階や隣の部屋に迷惑を掛けないように、お互い尊重して生活することに心がけてください。
また、共用部(駐車場、共用廊下、階段、ベランダ等)での喫煙は、望まない受動喫煙(他の人が吸っている煙草からの煙等を吸い込むこと)の原因となるとともに、灰の飛散、洗濯物への影響のおそれもありますので、お控えください。
さらには、危険防止等のため、団地内でのボール遊びは止めてください。
県営住宅はおしなべて築年数が経っているため、壁や床の遮音性能が近年のマンションなどの物件ほどではないかもしれません。ですから入居当初はとくに、今までの生活感覚のままでいるとトラブルの原因になりかねない可能性も考えて、慎重に暮らすことにしています。
「悪気はなかったのに…」というのはお互いに不幸ですからね。
2 共益費の支払いについて
共益費とは、共用電気代(外灯、エレベーター等)や水道代、共用施設(階段、廊下、集会場等)の光熱水費、蛍光灯の交換費用、浄化槽維持管理費等をいいます。
来てふくしま体験住宅提供事業を活用し県営住宅を使用される方にも、共益費を負担していただきます。
費用と管理については、団地内で徴収・管理しておりますので。ご協力をお願いします。
一般賃貸物件が家賃との一括払いなのに対して、町内会同様集金扱いなのですね。キャッシュレス生活でも少額の現金は常時用意しておいた方が良さそうです。
3 指定駐車場以外への駐車禁止について
団地内道路等の、指定駐車場以外の場所へは絶対に駐車しないでください。
消防や緊急活動の障害になり、非常時に支障を来すことになるとともに、入居者間のトラブルの原因になります。
必ず、指定された場所に駐車するようにしてください。
これは、鍵の受け渡し時に質問させていただきました。それは「来客用の駐車スペースがあるかどうか」ということでした。具体的には妻の両親が来訪するようなケースです。これについては「事前に管理人の方と調整してください」とのことでしたが、団地によって扱いが異なる可能性もありますから、入居前に確認されることをおすすめします。
4 ペットの飼育について
県営住宅では、ペット(犬、猫、鳥など)を飼育することはできません。
飼い主にとっては、かわいいい家族の一員でも、毛が飛んだり臭いが付いたりして不衛生ともなり
他人に不快な思いや迷惑を掛けることにもなります。
後に入居される方がペットアレルギー(動物アレルギー(犬、猫など))の場合もあるので、絶対にペットは飼育しないでください。
また、団地敷地内での動物への餌付けも絶対にしないでください。
これについては、飼育はもちろん餌付けもしませんが、そういえばカラス一匹いないんですよ…今住んでいるところは…。入居した頃はカラスに頭をつつかれたりして困ったものですが、一体どこへいってしまったのでしょう?(閑話休題)
5 退去時の修繕について
自己で破損した箇所の修繕及び個人で設置したものは、撤去については入居者の方に対応していただきます。
6 結露及び凍結について
県営住宅は気密性が高いため結露が起きやすい構造となっています。
特に投棄に加湿器や石油ストーブ等の使用が原因で結露によるカビの発生などのトラブルが多発しておりますので、室内に湿気を溜め込まないように換気をこまめに行うように心がけてください。(日に2~3回窓を開けて換気する。)
冬季に外気温が0℃以下となると水道管等が凍結することがあります。凍結防止のため水抜きや凍結防止用ヒーターがある住戸は電気のブレーカーを落とさないようにしてください。
これは鍵の受取時に念には念をいれて説明を受けたところです。窓が曇る程度なら風情があって良いかもしれませんが、やはり壁にも結露が発生してしまうのかもしれません。特に外壁と内装の間が結露してしまうと厄介なことになりかねませんので、確かにこの通りにした方がよさそうです。
II 入居から退去までの手続き等
1 入居時に必要な諸手続き
(1)電気・ガス・水道の使用申込みについて
電気・ガス・水道の使用申込みは、引越し日までに入居者自らが各供給事業者へ直接お申込みください。
連絡先は別紙資料をご覧ください。
<<申し込み先>>
電気:東北電力又は各小売り電気事業者
ガス:都市ガス又はLPガス供給者
水道:市町村水道担当課
電話:電気通信事業者
鍵の引渡し時には、この「しおり」のほかに、住戸の場所を示した案内図が渡されます。連絡先はその用紙に記載されていました。
ただし、ガス会社の連絡先だけは「0120~」の番号で、現住所である域外から繋がるかどうか分かりませんでした。そこでホームページを検索したらWEB受付がありましたので、そちらから申し込みしました。
(2)管理人への挨拶
管理人に入居する旨を連絡し、共益費の費用や徴収方法の確認、駐車や共同生活のルールの確認を行ってください。管理人の氏名・部屋については、別紙資料をご覧ください。
ここ、一番大切ですね。これから様々な方々のお世話になる中でも一番お世話になる方でしょうから。
私たちは鍵を受け取った翌日にはご挨拶させていただきました(当日はご不在にて翌日出直し)。
(3)引越のときの注意について
引越の際の運搬車両の駐車や、物品の運搬時においては、他の入居者に配慮し、トラブルが生じないように十分注意願います。
また、引越しの際にでた梱包用の紐・ダンボール・紙くずなどは分別した上で、必ずごみ収集指定日に指定場所に出してください。
これは、プロの引越し業者さんなら当然に配慮するとは思いますが、よろしく頼みますよ!アップル引越しセンターさん!
2 入居中に必要なこと
(1)駐車場の利用
自動車は使用許可を受けた駐車区画以外には駐車しないでください。2台以上の自動車を所有する場合は、民間の駐車場を利用願います。
実際に現地を確認した印象としては、広い敷地のなかに同じ桁の番号が連続し、区画を示す番号が分かりづらいのが少々気になりました。体で覚えるまでは、特に夜間は懐中電灯で照らして確認するくらいの念の入れようで良いと思います。
(2)車庫証明(保管場所証明)
車庫証明(保管場所証明書)の交付を希望される方は、建設事務所行政課で発行いたします。
事前に電話(24-6109)で確認のうえ、自動車検査証と印鑑を持参してください。
なお、自動車検査証の所有者又は使用者と入居者が一致しない場合は、発行できませんのでご注意ください。
この「車庫証明」とは」、車庫証明申請書に添付する「承諾書」のことだそうです。私が実際に上記の電話をしたときは、「それは別の部署の担当」とのことで「県営住宅管理室」という部署に電話が転送され、そこでよくよく話をしてみれば「来てふくしま体験住宅提供事業」で入居する場合は、建築行政課、つまり最初から上記の連絡先で良かった、というエピソードがありました。
このように、通常の入居者のケースとは扱いが異なりますので、連絡の際は「来てふくしま体験住宅提供事業で入居」とはっきり伝えたほうが良さそうです。
(3)入居者・緊急連絡人の変更
入居者に変更があった場合や緊急連絡人を変更する場合は、建設事務所にご連絡ください。
(4)用途変更
県営住宅を住宅用以外の目的に使用すること又は改造することはできません。
(5)模様替え等
電気容量変更や廊下等への手すりの設置などを希望される場合は、事前に建設事務所へ相談してください。
「模様替え」というと、壁紙を張り替えたりするようなことを思い浮かべますが、電気容量の変更も同じ扱いになってしまうのですね。説明では30Aのブレーカーが設置されているようですので頻繁にブレーカーが落ちることはないと思いますが、仮に20Aだったら変更も考慮することもあるかもしれませんね。
3 退去時に必要な諸手続き
(1)退去するときに必要なこと
退去する場合、退去する日の15日前までに使用終了に関する書類を建設事務所に提出してください。(来てふくしま体験住宅提供事業実施要領をご確認ください)。
なお、退去する際に住戸を入居前と同等になるよう清掃を行い、お住いの団地管理人にも退去する旨を連絡してください。
ここはいかにもお役所らしく「書面で」というところがポイントですね。もっとも、通常の賃貸では1ヵ月前までに…というケースが多いので、わざわざ15日前まで遅らせる必要性も低いと思われますので、「1か月前」と覚えておけば、書面でも確実に間に合いますね。
(2)退去検査・退去修繕
退去予定の連絡の受理後、入居者の方の荷物の搬出が完了しましたら、建設事務所職員による退去検査を行います。
使用者の故意又は過失による毀損等は、原状回復費用を負担いただきます。
また、ゴミや不要な家具類、自転車等は放置せず、責任をもって片付けるようにしてください。
(3)電気・ガス・水道など
退去される日までに、電気・ガス・水道等の公共料金については、入居者自身で各供給事業者に連絡し、必ず使用停止の手続き及び料金の精算を済ませてください。
ここは文面とは異なり退去検査で電気を使用するとのことで「電気の停止は退去検査が終わってから」との注意がありました。
(4)鍵の返還
退去検査時に、入居時にお渡ししたすべての鍵および入居中に作ったスペアキーを返還してください。
この際、入居時にお渡しした鍵を1本でもなくされている場合は、錠前そのものを交換していただきます。
III 団地内の生活
1 共同生活のルール
県営住宅は、独立家屋と異なり、隣近所が接した集合住宅です。
階段、廊下など共同で利用する施設も多いため、入居者のみなさまがお互いに協力してルールを守り快適な生活を営めるよう努めてください。
(1)環境美化
集合住宅では、共用部分の清掃がおざなりになったり、植栽等の手入れがされないまま放置されがちです。
「自分たちの団地は、自分たちの手で美しく」をスローガンに、定期的な共用部分の清掃や植栽等の手入れなど入居者のみなさまで協力して取り組んでください。
民間の賃貸マンションなどでは、家賃とは別の共益費を支払うことで共用部の清掃などは業者任せのことが多いと思いますが、ここでは町内会や自治会のようなお互い様精神が必要とされることが特徴ですね。この「しおり」を読んでいて、民間の物件とは最も大きな違いがあるポイントだと感じました。
(2)管理人への協力
各団地には、県と入居者のみなさまを繋ぐパイプ役として、入居者の中から選任された管理人がいます。
管理人の主な業務は、県営住宅等および共同施設の修繕すべき箇所の報告や
県や県営住宅管理室からの連絡事項の伝達を行うことになっていますので、入居者のみなさまも管理人の業務に協力するようお願いします。
また、管理人もみなさまと同じ入居者ですので、無理な相談やトラブルは持ち込まないでください。
ここも、マンションの場合は管理人室に常駐している管理人さんに言えば大抵のものごとは片付くという意識を持ちがちですが、ここでは自治会的な組織で成り立っているため、マンションの管理人さんとは全く違う存在だということは特に意識したほうが良いですね。
(3)受水槽、高架水槽及び浄化槽
受水槽や効果水槽は、各住戸への給水のために必要な施設であり、浄化槽は汚水の処理に必要なものです。
施設を傷めたり、マンホールを開けて異物を投げ込まないようにしてください。
特に浄化槽の内部は深くて危険ですから、マンホールは絶対飽きないようにしてください。
また、断水した場合、受水槽外部のオーバーフロー管から水があふれている場合、受水槽、浄化槽の故障警報が鳴った場合など、異常に気がついたときは、建設事務所へ連絡してください。
(4)排水施設
団地内の排水溝、排水桝又は排水管等にゴミや土がたまると、排水が流れにくくなります。
定期的に入居者のみなさまで清掃等の対応をしてください。
(5)ゴミの処理
ゴミの処理は、所在地の市町村のルールに従い、ゴミ収集日時、分別方法、搬出場所、搬出方法を守り、不衛生とならないように注意してください。
(犬、猫、カラスなどによりゴミが散らかり、悪臭の元となります。)
2 共益費
県営住宅では、入居者のみなさまが協力し、共同で管理運営しなければならないことがたくさんあります。
団地生活上必要な共同費用は、共益費として入居者のみなさまの責任において集金、支払いしていただきます。
共益費は滞納しないように、協力しましょう。
3 迷惑行為の禁止
(1)動物飼育の禁止
県営住宅では、ペット(犬、猫、鳥など)を飼育することはできません。
ペットを飼育すると、毛が飛散したり糞尿などの悪臭を放ったりして不衛生となり、他人に不快感や迷惑を掛けることになりますので、飼育しないでください。
また、野生の動物には餌をやらないようにしてください。
(2)騒音の禁止
生活音でも、他の部屋のテレビ、ステレオなどの大きな音や足音などの振動は大変うるさく聞こえるものです。
特に深夜、早朝などは、他の入居者に迷惑が掛からないように十分注意してください。
(3)落下物の注意
2階以上の住宅の窓やベランダから物を投げたり、不注意で植木鉢などを落としたりすると思わぬ事故になりかねません。
ベランダの手すりの上などに物を置かないようにしてください。
(4)漏水の注意
洗濯機の排水管接続不良や、排水目皿の詰まりにより、大量の排水が漏れ、下階の住戸内に漏水し、内装材や家財を損傷させるトラブルが発生しています。
被害の状況によっては高額の損害賠償が発生する原因となりますので、洗濯機の排水管は確実に排水口に接続し、排水目皿をきちんと清掃するなど、排水不良とならないように日常の維持管理を十分に行ってください。
なお、もしこのような状況になった場合は、下階の入居者及び建設事務所へ速やかに連絡するようにしてください。
(5)自動車の駐車
自動車は使用許可を受けた駐車区画に必ず駐車してください。
団地内通路や浄化槽の構造物の上に駐車すると、消防や緊急活動、他の車両の通行時の妨げになり、また、浄化槽等の構造物の破損の原因にもなりますので、絶対にやめてください。
駐車スペースは1住戸につき1台です。2台目の自動車を所有する場合は、入居者の責任で、民間の月極駐車場を借りるなど適法な駐車スペースを確保してください。
4 入居中の注意事項
①住宅の保管義務
県営住宅は、県民の共有財産です。
今お住まいの住宅はもちろんのこと、集会所、自転車置場などの共同施設をはじめ、団地全体を含め常に大切に使ってください。
また、定められた規則を守り、適切な住まい方に注意を払ってください。
②転貸の禁止
住宅を他の人に貸し、入居の権利を譲渡することはできません。
③用途変更の禁止
住宅以外の用途に使用することはできません。
④無断同居の禁止
承認を受けずに、入居時に申請された同居者以外の他の人を同居させることはできません。
⑤無断増築・模様替の禁止
承認を受けずに、住宅の増築・模様替を行うことはできません。
⑥迷惑行為の禁止
県営住宅の周辺の生活環境を乱し、他の入居者に迷惑を及ぼす行為はしないでください。
⑦その他条例・規則の遵守
県営住宅は、条例や規則によりさまざまなルールや義務が定められています。
このような決まり事をまもっていただくことは、入居者のみなさんが快適に生活を送るうえで非常に重要なことですので、条例や規則を遵守してください。
まとめ
このように、「来てふくしま体験住宅提供事業」は、県営住宅を利用することになるため、民間のマンションとは違う独自のルールに慣れる必要があることが分かります。
私たちの場合は、人間関係も含めた現地の文化に慣れるための「訓練」だと思っていますから、様々な活動にも積極的に参加しようと思っています。
さて、こう言っているうちに引越しの日も数日先となりました。
これからどのような日々が待っているのでしょうか?
ありきたりな表現ですが、不安と期待が入り混じった不思議な感覚といったところです。