ガンプラ製作を通じた地域交流とは?
地方移住を検討している人にとって、現地のコミュニティとどのように関わりを持てるかは、大きな関心事のひとつではないでしょうか。
特に、趣味を通じて地域の方々と交流できる場があると、移住後の生活が想像しやすくなります。
今回は、私たちがいわき市「いわきプラモ製作研究所」に参加し、趣味を通じた地域交流がどのような形で進むのかをご紹介します。
移住を準備している方々にとって、現地でのコミュニティとのつながり方や、どのようにして移住を具体的に進めていくかのヒントになればと思います。
ふたたび常磐道を北上
2024年9月28日、私たちはふたたび常磐道を北上していました。
今日の目的は、地域住民が集まる「いわきプラモ製作研究所」の9月例会に参加することです。
とはいっても遊びに行くわけではありません。
実は、私たちの目的は「地域住民の方々との交流」です。
去る6月、私たちは、いわき担当の移住コーディネーターさんから、移住希望者向けの公式イベントとして開催された「ガンプラ製作会」への参加を勧められていました。
しかし、介護職の専門家を目指す妻の通学スケジュールと重なってしまい、残念ながら参加は断念せざるを得なかったのです。
これまでのコーディネーターさんとのやりとりの中で、私たちは、移住準備活動は「小さな行動の積み重ね」だと気付かされていました。
そこで、「無いチャンスは自分で作れ」とばかりに、次回の公式イベント開催時期まで待たず、「ガンプラ製作会」の運営・進行を陰で支えていた「いわきプラモ製作研究所」に直接アクセスし、私たちは、定例会への「ビジター参加」を打診していたのですす。
そして迎えた今日という日は、私たちが「地域の方々に受け入れてもらえるのか」を見極める重要な日となりました。
もっとも、そんなに緊張してガチガチになっていたわけでもなく、いわき流に「何でも楽しんじゃえ」という感覚で臨みましたが…。
小名浜地区の賑わいと予想外の混雑
例会の開始は午後1時からだったので、午前9時に出発すれば十分に間に合う予定でした。しかし、妻が「せっかくだから小名浜エリアにも行ってみたい」と言ったので、少々早めの午前7時に出発しました。
いわき湯本ICで高速を降りて、県道バイパスを道なりに約20分走ると、そこは小名浜エリアです。
妻が行きたがっていたのは「いわき・ら・ら・みゅう」という施設でした。
しかし、当日はフェスティバル開催日らしく、駐車場は満車。
その大混乱の様子は、私が都会生活に愛想が尽きた瞬間を思い出すほどでした。
私が「もうあきらめよう。次はどこに行く?」と言うと、妻は「道の駅よつくら港」と答えました。
小名浜エリアを出た後は、いわき市の市街地である「平」に向けてほぼ北上しました。
この区間の印象は、まるで「都心郊外の国道」のようで、車の流れもどこかせわしなく感じました。
しかし「平」を抜けてさらに北上すると、再び田園風景が広がり、心にもゆとりが戻ってきました。まるで北東北地方の盛岡や八戸のような風景です。
「道の駅よつくら港」のゆったり感
「道の駅よつくら港」に着くと、まるで時計の針がゆっくりと進んでいるかのように、穏やかな時間と心地よい風が流れていました。
歩いているおじさんから声を掛けられても、話が弾みそうな心の余裕も感じました。
私は途中のSAで食事をしていたので空腹ではありませんでしたが、妻は弁当を購入し、好物のエビフライをほおばって満足そうに微笑んでいました。それにしても、このエビフライの何て太いこと!
いよいよ目的の地へ
さて、午後1時が近づいてきたので、本来の目的地である草野公民館へ向かうことにしました。
車で走ること約10分あまり。
無事到着した私たちは、あらかじめ指示されていた通り、公民館の管理者の方に来館目的を伝えました。
正面の階段を登り終えるところで、運営者の方と初めて対面し「どうも!お世話になります!Satoshiと申します!」と挨拶しました。
室内に案内されると、何人かのメンバーはすでに集まっており、それぞれ作業を始めていました。
実は私は模型歴40年ではありますが、飛行機なら片目をつぶってでも作れる、と豪語してしまっては言い過ぎでしょうか。
しかし、前回「ガンプラ製作会」に参加する機会を逃してしまったこともあり、せっかくの機会なので、今回は初めての「ガンプラ」に挑戦してみることにしました。
あらかじめ購入しておいたキットの箱を開けると、見たこともないような部品がたくさん。
飛行機モデルの場合、部品の段階で「これはエンジン関係、これは尾翼関係だ」と全体像を把握しながら作戦を立てることができます。しかし、ガンプラは初めてなので、どの部品が何に対応しているのか、まったくわかりませんでした。
会合の印象は、常連だけが盛り上がるということもなく、時折会話が交わされ、全体的にゆったりとした雰囲気でした。
同時に参加した妻には「紅の豚」のキットを用意していましたが、時間が経つにつれて、あちらこちらの席から声がかかり、完全に場の雰囲気に溶け込んで楽しんでいました。
私はというと、組み立て説明書通りに、ひとつひとつ作業を進めていました。
主催者の方から「ガンプラは手でもぎって部品を切り出しても大丈夫ですよ」と教えていただいたので、あまり細かいことを気にせず、ひたすら作業に没頭していました。
まるで3Dパズルを組み立てているようで、頭を使う良いトレーニングになっている気がしました。
そして、最後の部品を取り付けようとしたところ、なぜかうまくはまりません。
「あれ?それって上半身と下半身が前後逆じゃないですか?」と主催者の方が声をかけてくれました。
確かにガンダムのつま先が、両脚とも後ろを向いていました。「あ!やってしまった!」と、思わず大笑いしてしまいました。
やはり、初めて挑戦するというのはこういうことなんですね。
ひと段落して建物の外に出てみると、ほのかに土や草の香りが漂ってきました。
「こんな匂いを嗅ぐのは何年ぶりだろう?」
また、遠くから聞こえる踏切の音は、電子音ではなく昔ながらの鐘を打つ音。
少なくとも今の自宅近辺ではもう感じられないものです。
部屋に戻ると、大人たちが高校生の相談に乗っている場面に遭遇しました。学校での問題や、人生で経験する大小のピンチをどう乗り切るか、気持ちの持ち方などについて話し合っているようでした。
そしてここが単なる趣味の集まりではなく、この場が果たしているもうひとつの役割を微笑ましく感じました。
自分が高校生のとき、こんな大人たちが身近にいたら、もっと楽しい青春時代を過ごせたかもしれない。そんなことを思いながら、現地の高校生たちが少し羨ましく感じました。
こうして、時間はあっという間に過ぎ、会合も終わりを迎えました。
主催者の方に見送られながら「ありがとうございました!」と挨拶し、車を出すと、あちこちから「ありがとうございました!」という声が響いてきました。
帰りの車の中では、妻がふと一言、「私、確信した」とつぶやいたのでした。
まとめ – 地域とのつながりと移住への決断
今回の訪問で、私たちは地域の方々との交流を通じて、いわき市の人々をより身近に感じることができました。
そして偶然にも、この会が単なる趣味の集まりではなく、人と人が支え合うコミュニティの場でもあるということを知ることができたのです。
私たちは移住希望者としては、合格点だったでしょうか。いや、そんなことを気にすること自体意味のないことかもしれません。
今回は、私たちがこの地にどのような形で貢献できるのか、そんなこともおぼろげながら見えてくる経験にもなりました。
実は、私たちの移住時期も具体的に決まり始めています。
次回の記事では、私たちがどのように移住の時期を決定し、具体的なステップを踏んでいったのか、その詳細をお伝えします。ぜひお楽しみに。